意外と知られていない「歯の破折」

虫歯と歯周病の予防が浸透してきました。そのことにより2005年には抜歯の原因の75%を占めていた虫歯と歯周病ですが2018年には67%にまで減っています。

逆に抜歯の原因で増えてきたのが歯の破折です。11%だったのが約18%にまで増えています。

当院でも抜歯の原因は歯根破折が一番多いと感じます。(統計はとっていないので感覚的ですが)

あまり知られていないのですが歯は特に何もしていないのに知らない間にヒビが入って割れていることがあります。特に歯の根は割れてしまうと抜くしかありません。何度も根の治療をしているのになかなか治らない、違和感の原因がよくわからない、などはっきりとわかりにくいことも多く、レントゲンに写らないことも多々あります。

続・歯周病は認知症の原因か?

前回の続きです。前回のブログと合わせてお読みください。

歯周病はアルツハイマー病の発症に影響を及ぼすのではなく増悪に影響を及ぼしている可能性が考えられる。

糖尿病はアルツハイマー病の重要なリスクとなる。歯周病は糖尿病の増悪因子であるため、糖尿病をコントロールできる歯周病ケアは間接的にアルツハイマー病のリスクを低減できると考えられる。

本研究では因果関係についてまでは言及できない。今後検討が必要である。となっていますのでテレビが言うように「歯周病は認知症の原因」は言い過ぎです。

今の所、「歯周病は糖尿病を悪化させるためアルツハイマー病を悪化させる可能性があるのでアルツハイマー型認知症の増悪予防のために歯周病ケアは重要である。」とは言えるのではないでしょうか。

歯周病は認知症の原因か?

昨日テレビで「歯周病は認知症の原因」のような番組が放送されていました。

テレビは大げさなことを言うことが多く事実が誇大解釈されて放送されることが多いので報道内容を鵜呑みにしてはいけません。

その時の参考文献として国立長寿医療研究センターの平成28年度の報告書「歯周病がアルツハイマー病の分子病態ならびに認知機能障害を増悪させる機序の解明」が挙げられていましたので読んでみました。この研究はアルツハイマー病の早期診断、予防、治療法の開発に役立てるために行われています。

結論は歯周病の炎症はアルツハイマー病の病態形成に関与している可能性がある。歯周ポケットの深さよりも歯周ポケットからの出血の方がアルツハイマー病発症割合が高い。

では歯周病は認知症の原因なのか?続きは次回です。

「続・歯周病は認知症の原因か?」はこちら

 

むし歯は多い?少ない?

「むし歯は減った」と言われていますが、未処置のむし歯の有病率は3割と言われています。他の病気に比べると非常に有病率の高い病気です。

3700万人以上に治療が必要なむし歯がある、ということになります。

国民病と言われる糖尿病が予備軍も含めて2000万人と言われているのでむし歯の方がはるかに多いのです。

むし歯は病気でないと思われている??

「むし歯は痛い」というイメージがありますが痛みのないむし歯の方が多いです。レントゲンを撮影したらむし歯が見つかった!なんてことは日常茶飯事です。

「痛みがない=むし歯がない」とは限りませんので、長らく歯科医院に行っていない方はレントゲン撮影をして隠れたむし歯がないかチェックしてもらいましょう。