フッ素は塗った方が良いって聞いたり、体に悪いって聞いたりするけど本当はどうなの?

予防歯科
いまだに「フッ素は体に毒だからフッ素塗布はしてはいけない」とか「フッ素入り歯磨き粉は体に悪い」と主張している人がいるようです。
フッ素は必須微量元素の一つですから、人間の体に必要な元素の一つです。ですからフッ素は摂取量が多すぎても少なすぎても問題が起こります。
フッ化物応用について危険性が指摘されているのは現実では考えられないほどの大量に摂取した場合のもので、今までに指摘された危険性は全て論破されています。(フッ化物局所応用実施マニュアル 日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会編 2017年 より)
フッ素を完全に除去するのはナンセンスですし、虫歯予防に効果があるのは証明されています。
お茶や海藻類にはフッ素が含まれています。フッ素を否定する人はこれらの飲食物も否定しているのでしょうか??
塩やビタミンと同じで大量に摂取すると体に悪いですが適量は必要なのです。
もっと詳しく知りたい方は日本口腔衛生学会のフッ化物洗口Q&Aに記載されています。
フッ化物洗口Q&Aはこちら

フッ素はいつ頃からどれくらいの間隔で塗ってもらったら良いの?

平成29年6月に日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会が出した「フッ化物局所応用実施マニュアル」という本があります。
それによると、「虫歯に最もなりやすいのは歯が生えてから2〜3年の間であると言われているため歯が生え始めてからフッ化物歯面塗布を実施すると良い。」と書かれています。
「乳前歯が生えてくる1歳頃から第2大臼歯が生え揃う13歳頃までの間6ヶ月ごとに口の中に生えている全ての歯にフッ化物塗布を行うことが奨められる」となっています。
通常のフッ化物塗布は6ヶ月に1回です。虫歯になりやすい人は3〜4ヶ月に1回が望ましいとされています。
当院では覚えやすいことから、春休み、夏休み、冬休みの年3回のフッ化物塗布をおすすめしています。
13歳までと記載されていますが、大人のフッ化物塗布も勧めるべきです。虫歯予防の進んだ諸外国では大人にも積極的に実施しています。

フッ素入り歯磨き粉のフッ素濃度が変わります!

平成29年3月17日に1000ppmを超えるフッ素濃度の歯磨き粉が医薬部外品として承認されました。
今まで日本では1000ppmが上限でしたがこの度1500ppmまで引き上げられました。
ISO(国際標準化機構)ではフッ素濃度の上限は1500ppmとされていますので諸外国の歯磨き粉のフッ素濃度は1100ppmか1450ppmの物が多いのです。
なぜ濃度にこだわっているか?というと「う蝕治療のガイドライン」に「初期根面う蝕に対して1100ppm以上のフッ化物配合歯磨剤の使用だけでも表面の欠損の深さが0.5mm未満のう蝕であれば、再石灰化できる可能性がある」と記載されているからです。欠損の浅い初期の根面う蝕はまずフッ化物を用いた非侵襲的治療を行って再石灰化を試みう蝕を管理するよう推奨される、となっています。
推奨の強さはBですから「科学的根拠があり行うよう勧められる」というレベルです。
日本の歯磨き粉の主流は950ppmですからちょっと足りないのです。早く商品化されていい歯磨き粉が出てきたらまたお知らせします。
「出ました!高濃度フッ化物配合歯磨き粉!」はこちら
歯磨き粉選びのポイント動画はこちら

インプラントを入れている人はフッ素入り歯磨き粉を使ったらだめなの?


フッ化物配合歯磨材は成人や高齢者にも虫歯予防効果があります。
最近、フッ化物配合歯磨材がインプラント周囲炎のリスクになる可能性が指摘されています。
日本口腔衛生学会誌2016年第66巻第3号に文献レビューが掲載されました。
結論から、「フッ化物配合歯磨材の利用を中止する利益はなく、中止によるう蝕リスクの増加が懸念される。」とありますので、インプラントを入れている方も特に気にすることなくフッ素入り歯磨き粉を使用して虫歯予防をがんばりましょう!
詳しく知りたい方はこちら
フッ化物配合歯磨剤はチタン製インプラント利用者のインプラント周囲炎のリスクとなるか:文献レビュー

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