日本糖尿病協会が発行する「月刊糖尿病ライフ さかえ 10月号」にわかりやすく記載されていましたのでまとめてみました。
食品には写真の図のように効果・効能の表示が認められていない「一般食品」と、効果・効能の表示が認められている「保健機能食品」に分けられます。
一般に健康食品と言われているものは「体に良さそう」と思って食べたり飲んだりするものですが効果や効能を書いてはいけないことになっています。逆に言えば効果・効能を書いていなければ何を書いてもいいわけです。ですから効果がありそうな気がする文言が書いてあります。病気を改善する健康食品はありません。健康食品は一般食品に含まれています。また健康食品の中には錠剤や粉末になっていていかにも薬っぽく効きそうなサプリメントといわれるものがありますがこれも一般食品です。病気を改善するものではありません。効きそうな気がするだけです。
保険機能食品のなかには写真の図のように「特定保健用食品」(健康増進法で規定)「栄養機能食品」「機能性表示食品」(それぞれ食品表示法で規定)があります。
特定保健用食品はトクホと呼ばれています。消費者庁に届け出が必要で個別に審査され、許可をもらわなければなりません。病気の治療に用いるのではなく、健康が気になる方を対象に作られた食品です。効果はかなり小さいので多大な期待を寄せないように注意が必要です。
栄養機能食品は届け出の必要がありません。栄養成分の機能を、定められた表現でのみ表示することができます。定められた表現しかできないので販売者にとってはあまりメリットがないのではないでしょうか。
機能性表示食品は健康政策ではなく、経済活性化のために作られた制度です。健康食品事業の活性化を目的に作られた制度であって国民の健康増進のために作られた制度ではありません。つまり、商品販売が目的の制度というわけです。届け出のみで審査はありません。審査がないので販売事業者の主張したいことが書かれています。ですから消費者は消費者庁の「機能性表示食品に関する情報」のホームページ(http://www.caa.go.jp/foods/index23.html)に開示された情報を自分で確認し利用価値があるかどうか自分で判断しなければなりません。開示された情報の科学的根拠の質についての検証はこちらをご覧ください。http://www.caa.go.jp/foods/pdf/food_with_function_report_0001.pdf
売る側にとって都合の悪いことは知らせない広告もあるので開示された情報に科学的根拠があるのかどうか、また採用されている論文の質が高いかどうか自分でしっかり吟味する必要があります。
審査・許可が必要な特定保健用食品でさえ効果はかなり小さいといわれていますのでその他の食品の効果はたかが知れていると思います。一般的な健康食品はなおさらでしょう。
国の制度に基づいているのですが保健機能食品の機能性(効果・効能)はほんの少ししかありません。保健機能食品をふくめた「健康食品」の類の宣伝文句に誘惑されないよう適切な食生活や運動などは、かかりつけの医療スタッフと相談し医師からの投薬はしっかり守って健康維持に努めましょう。
月: 2016年9月
歯を白くする歯磨き粉ってどんなの?
さまざまな歯磨き粉が販売されていますが当院でお勧めしているのはブリリアントモア(ライオン)です。
ちなみに歯磨きで歯を白くするのと、ホワイトニングで歯を白くするのは根本的に別物です。歯磨き粉は歯の表面についている着色汚れをきれいにするもの。ホワイトニングは歯そのものの色を白く変えることです。
美白歯磨剤と言われるこの歯磨き粉ブリリアントモアは研磨剤で着色を取り除くのではありません。歯の表面から着色汚れを浮き上がらせる化学的ステイン除去成分「ピロリン酸ナトリウム」が配合されていますので歯の表面を傷つけずに着色汚れを取り除き白い歯をキープできるのです。
もちろん虫歯予防のためのフッ素配合です。
さて以下は化学的な話になるので「どうやって化学的に着色汚れを取るの?」ということにご興味のある方はご覧ください。
着色汚れは負に帯電しています。歯の表面のエナメル質はカルシウムイオンで正に帯電しています。着色汚れはこの正と負のイオン結合でしっかり結びついています。
ピロリン酸ナトリウムは着色汚れよりもカルシウムイオンとの親和力が強いため着色汚れに取り変わってカルシウムイオンと結びつき着色汚れを浮き上がらせるのです。
歯を着色しやすい着色性食品
コーヒー、紅茶、コーラ、ウーロン茶、赤ワイン、ブルーベリー、カレーライス、醤油、ソースなど
着色を助長する着色補助食品
炭酸飲料全般、アルコール、スポーツドリンク、柑橘系の飲食物、クエン酸、お酢、梅干等
最近、「歯を白くする歯磨き粉」で「ちょっと高すぎるんじゃない?」と思うものもありますね。
参考までにこのブリリアントモアの歯科医院での販売価格は90g 950円(税別)です。
「歯科用」となっていますがネットでも購入できるようです。
虫歯予防のガムって効果あるの?
歯の表面を覆っているエナメル質はハイドロキシアパタイトという結晶からできています。(ハイドロキシアパタイト=Ca10(PO4)6(OH)2)この結晶は酸に弱く、食事のたびにカルシウムとリン酸が溶け出します(脱灰)
この脱灰に対してカルシウムとリン酸をエナメル質に補給することを再石灰化とよんでいます。
この再石灰化を積極的に促すことが虫歯予防に重要だとされています。
当院でお勧めしているガムはPOs-Ca・F(ポスカF:江崎グリコ)です。
POs-Caはジャガイモのデンプンから得られるリン酸化オリゴ糖ですが虫歯菌は利用できないので虫歯の原因になる酸は作られません。そして歯の表面の細い隙間を通り抜けて脱灰部に浸透し再石灰化に利用されます。
また、POs-Caは高い緩衝能を発揮して口の中のpHを引き上げて脱灰を抑制します。
また緑茶エキスのF(フッ素)を配合することにより再石灰化力が増強されています。
虫歯予防用のガムPOs-Ca・Fは脱灰を抑制し再石灰化を促進する、まさに虫歯予防用と呼べるガムなのです。
顎関節症の方がガムを噛むのは禁忌ですのでご利用いただけません。「顎を鍛えるためにガムを噛む」という方がたまにいらっしゃいますが、かえって症状を悪化させますのでお控えください。
歯科用アマルガムは詰め替えないといけないの?
歯科用アマルガムには無機水銀が使用されており日本では廃絶を目指してきました。歯科用アマルガムは2016年の診療報酬改定で保険適用が廃止されましたので、日本国内で新たに使用されることはないと思われます。
平成8年に大学を卒業した私は大学でアマルガムの実習があったかどうか記憶にありません。卒業してから実際に治療でアマルガムを使用したことはありません。ですので最近はほとんど使用されていなかった材料だと思います。
しかし、以前は頻繁に使用されていた材料ですので現在口の中に虫歯治療したアマルガムがある、という方は多いとおもいます。
日本歯科医師会は、口の中にすでに虫歯治療として詰められているアマルガムは水銀化合物として安定しているので虫歯の再発がなければ原則として除去する必要はない、除去が必要になった場合は慎重に除去、回収を行うべきであると指摘しています。
時々「アマルガムが入っているから詰め替えなければならないか?」というご質問を受けますが、見た目の銀色が気にならず、虫歯になっていなければ特に詰め替える必要はありません。
アマルガムに関してはネット上に様々な情報が散乱し混乱しています。
学会が正式に出したQ&A集がありますので何らかの疑問を持たれている方は参考にしてください。
下のリンクがうまく飛ばなくなっています。
お手数ですが「アマルガム使用に関する検討委員会」で検索し下記ページを検索してください。
日本保存歯科学会 アマルガム使用に関する検討委員会歯科用アマルガム(に含まれる水銀)に関するQ&A集はこちら