保険でできる白い歯が増えます。

2017年12月1日より保険でできる白い歯の範囲が拡大されました。
CADCAM冠といわれるすべてプラスチックでできた歯です。
単冠と呼ばれる1本だけかぶせる場合に限られます。ブリッジの適応はありません。
これまでは小臼歯に限られており、金属アレルギーのある方のみ医師の診断書があれば大臼歯にも適応可能でした。
このたび、上下左右の第2大臼歯がそろっていて噛み合わせがしっかりしている場合に
”下顎の第1大臼歯に限り”、使用できるようになりました。
歯科用金属アレルギーのある方はこれまで通り医師の紹介状があればどの大臼歯でもCADCAM冠を入れることが可能です。
保険の白い歯は、削る量が多かったり、はずれたり、割れたりと課題がまだまだ残されていますが、
患者様にとっては金属ではない白い歯にできるというメリットがあります。
我々歯科医師にとっては、銀色の金属は時価で変動しているため、金属代が高騰している昨今、変動しない保険で決められた価格だと「銀色の歯を入れると原価割れすることがある」、と言う不安を払拭できるというメリットがあります。
「いったいどの歯まで保険で白い歯が被せられるの?」はこちら
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自費でできる白い歯

自費でできる白い歯の代表はセラミック(陶器)でしょう。昔からあるメタルボンドと言われるものが一番有名で安定感があります。
金属の上に陶材を焼き付けていくもので芯の部分は金属、見える部分は陶材で歯のように見えます。陶材焼き付け鋳造冠とも呼ばれます。
最近は芯の部分までセラミックでできているオールセラミックと呼ばれる材料が多く出てきました。金属を一切使用しないので透明度が高く本物の歯とほとんど見分けがつかないまでになっています。セラミックですのでプラスチックと違い強度も十分あり問題ありません。精度も鋳造冠と遜色ないまでになってきました。
自費で作る歯は口腔内写真を撮影し残っている歯と同じ色が再現できるよう写真も技工士さんに提供します。歯肉圧排を行い、削っている部分を明確にして精度の高いシリコン印象材を使用して型取りをします。また噛み合わせもシリコンで正確に調べます。超硬石膏を使用し精度を上げます。技工士さんは自費を専門に扱っているスペシャリストで日本国内の技工所にお願いして作成してもらいます。
口腔内にセットするときも十分な前処理を行い、専用の接着剤を使用します。
自費の欠点は健康保険の適応外なので3割負担という窓口負担金が定価の7割引の激安制度が使用できない点です。また、精度を上げるための工程がたくさんあるため、保険診療よりも少し時間がかかります。それ以外に欠点は見当たりません。
「奥歯って保険で白いのできるんですか!?」はこちら
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奥歯って保険で白いの出来るんですか!?〜保険と自費の白い歯は何が違うのか?〜

「奥歯は保険で白い歯はできません」聞かれたことがあると思います。
まとめて書こうと思ったのですが思いのほか長くなってしまうのでまずは奥歯の保険の歯について。
単冠と呼ばれる1本だけをかぶせる場合のお話です。
ブリッジはより細かな制限があるのであてはまりません。
今のところ健康保険で白くできるのは第2小臼歯(糸切り歯の2つ奥)までです。白くできるものはかぶせるものに限ります。部分的に、はめ込むもの(インレー、オンレー)でチラッと金属が見えるものは今でも白いものは保険では認められていません。CR(コンポジットレジン)と言われる小さい虫歯に詰めるプラスチックは保険で認められていますが大きな虫歯には向いていません。
金属アレルギーがある方は大臼歯まで保険で白いかぶせる歯が認められています。(医師の診断書が必要です)
では、保険で認められている白い歯はどのようなものなのか?
前歯と臼歯で材料が異なっています。なぜ違うのか時々質問されますが、それはお上が決めることですので我々に聞かれてもわかりません。健康保険にはお上が決めた多くの細かい決まりごとがあるのです。
では、小臼歯で保険が認められる白い歯の材料は?
硬質レジンジャケットクラウンとCADCAM冠の2種類です。
どちらも歯科医院で型をとり、一般的に技工士さんが製作します(まれに歯科医師が自分で作る場合もあります)
歯肉圧排は行わず、型をとる材料は一般的に寒天+アルジネートと言われる安価で簡便な印象材が使用されます。石膏は硬石膏を用います。ですので精度は二の次になってしまうのは致し方ありません。
当院では日本国内の技工所にお願いして作ってもらっています。一般的に自費と保険では作ってくれる技工士さんが異なります。
硬質レジンジャケットクラウンは技工士さんが模型の上でプラスチックを積み上げながら歯の形を作っていくもので全てがプラスチックでできています。
見た目は綺麗ですが強度に少し不安があります。時々外れたり、壊れたりすることがあります。プラスチックですので長年使用していただくと変色してくることがあります。
硬質レジンジャケットクラウンは小臼歯に使用する場合「応分の咬合圧に十分耐えられることが条件」と記載されています。前歯よりも力がかかるので力がかかりすぎる場合は適応ではありません。(例えば奥歯がなくて小臼歯が噛み合わせの中心を担っている場合など)
CADCAM冠はプラスチックの塊をコンピューターがくり抜いて歯の形を作るものです。硬質レジンジャケットクラウンより物性は優れていますが接着が難しく外れることが時々あります。
小臼歯に保険で認められている白い歯は全てプラスチックです。
経年的な変色、破折、脱離はある程度は致し方ないと考えられます。
しかし、型取りから口の中に装着するまでだいたい3万5千円くらいするものが窓口3割負担の約1万円で処置してもらえるので何と言っても安価です。
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いったいどの歯まで保険で白い歯が被せられるの?(被せ物に関して)

日本では金属でキラキラ光っている歯が未だに一般的で、健康保険で認められているものも銀色の金属が主流です。
しかし、いざ自分がそのキラキラ光る銀色を入れてもらうか?となるとやはり抵抗がありますね。笑ったら金属が見えますし・・・
自費で費用を出せば白くて綺麗な歯を入れてもらえることは一般的に知られていると思います。しかし以前「自費と保険はなぜこんなに値段に差があるのか?」に書いた通り、自費と保険は質と値段に雲泥の差があります。
とりあえず「質」は置いておいて、保険では全然白い歯ができないのか?というとそうではありません。
以下お話は単冠と言われる一本だけの歯をかぶせる場合に限ります。
ブリッジはより細かな制限がありますので当てはまらない場合がほとんどです。
前歯(右の糸切り歯から左の糸切り歯までの6本)に関しては硬質レジン前装鋳造冠という金属に裏打ちされた表面が硬いプラスチックで覆われている白い歯を作ることが可能です。裏から見ると銀色ですが、前から見た時には白色です。長年使っていただいているうちに少し黄色っぽく変色します。見た目の美しさも技工士さんの技術に左右されます。保険でできるものなのでそのへんは目をつぶりましょう。
糸切り歯より後ろの歯はどうでしょう。
第1小臼歯、第2小臼歯(前から4番目と5番目の歯)には硬質レジンジャケットクラウンと言われる、硬いプラスチックで作られた白い歯を入れることができます。プラスチックだけで作られているので時々割れることがありますが保険でできるものなので、そこは目をつぶりましょう。
また、去年からCADCAM冠といわれる硬いプラスチックの塊から削り出した冠を入れることも可能になっています。かなり硬くなっており割れることはあまりありませんが時々外れます。接着剤の問題か、削り方の問題か、材質の問題か今議論がなされているところです。
ではそれより後ろの大きな歯はどうでしょう?
大臼歯と言われる前から6番目より後ろの歯は、基本的に銀色の被せ物しか認められていません。例外は、医師により歯科用金属アレルギーと診断され主治医から文書による情報提供が歯科医院にあった場合に限りCADCAM冠といわれる硬いプラスチックの塊から削り出した冠を入れることができます。
保険で白くできるものについて記述しましたが、万人に共通ではありません。実際の治療の際には口の中の状況により適応、不適応がありますのでそれぞれの方にあった材料を歯科医院でしっかり相談して決めてください。
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